牛若丸(三) 弁慶 五条大橋

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そのころ京都では、弁慶なる荒法師が夜な夜なあらわれ、通行人の刀をぶんだくって、恐れられていました。

弁慶は千本の刀を集めるという、たいへん迷惑な目標を立てていたのです。

そして今夜が千本目。

弁慶が五条大橋の真ん中で通行人を待ち構えておりますと、

澄んだ笛の音が響いてきます。

「ほほう、いい響きじゃ」

弁慶がそちらを見ると、

サラサラしたカズキを頭からかぶり、横笛をふいて、さっそうとやってくる若者が一人。遮那王です。

ゆっくり歩いてくる遮那王。さしもの怪僧弁慶も、笛の音に聞き惚れます。

が、その時!

遮那王が腰にさした黄金づくりの太刀に弁慶は目をとめます。

「おい」

ピタリと止む笛の音。

「その太刀…、気に入った!!」

ブゥンと長刀を振る弁慶。遮那王はバッと後ろに跳ね飛んで逃れます。

「音に聞く、怪僧弁慶とはお前のことか。なるほど図体だけはでかい」

「なっ…!!」

「来い、遮那王が相手をしてやる」

「ぬぬぬ、小僧ッ!!」

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弁慶が長刀をふりまわし、遮那王目がけて突っ込むと、

ヒラリかわした遮那王が「遅い」と放つその声に、

怒り狂った弁慶が、憤怒と払う一振りを、遮那王軽く踊りこえ、

逃れる先は欄干の橋の手すりのその上に、

「おのれこわっぱちょこまかと」

弁慶やにわに振り下ろす、ズガン、バカン、ドガーーッと

砕けて夜空にはじけ飛ぶ、五条の橋の欄干の、

あちらこちらに走る、飛ぶ、

余裕の笑みの遮那王が

どりゃあと宙に飛び上がり

手にした笛を振り上げて

不意を付かれた弁慶が、

真上をあおぐその刹那!

バッシーッ!!

弁慶の額に強烈な一撃!

ガシャリと落ちる長刀。

「ま…まいりました」

ひざまづいた弁慶に、遮那王はカラリと笑って手を差し伸べます。

この時から弁慶は遮那王の家来となりました。

後に遮那王は源九郎義経と名乗り、兄頼朝と共に平家を滅ぼします。

そのそばにはいつもこの武蔵坊弁慶の姿がありました。

解説:左大臣光永

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