アマテラスオオミカミとスサノオノミコト

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こんにちは。左大臣光永です。この正月は広島の厳島神社に
初詣をしてきました。とにかく人が多かったです。島の入り口から
厳島神社の社殿まで、ギッシリと人。人。人。

あまりの込み具合に早々に神社参拝はあきらめ、
裏道から山のほうに登っていき、ひなびた町並みの中を
ぶらぶら歩いてきました。そこかしこに、鹿が多かったです。

厳島神社は宗像三女神(むなかたさんじょしん)と
よばれる三柱の女神をまつります。
『古事記』によるとアマテラスオオミカミとスサノオノミコトの
誓約(うけい)によって生まれた神で、いわばスサノオノミコトの
娘、ということになります。

▼音声が再生されます▼

http://roudoku-data.sakura.ne.jp/mailvoice/ukei.mp3

イザナギのミコトの体の一部から生まれた三柱の神々、
アマテラスオオミカミ、ツクヨミノミコト、スサノオノミコトは、
それぞれ父イザナギに命じられて支配すべき場所を言い渡されました。

アマテラスオオミカミは高天原(タカマガハラ)を。
ツクヨミノミコトは夜の食国(おすくに)を。
スサノオノミコトは海原を。

それぞれの国の支配を命じられました。

スサノオノミコトの追放

しかし、アマテラスオオミカミとツクヨミノミコトが父のいうことを
きいてそれぞれの国を治めていたのに、弟の
スサノオノミコトは父の言いつけにしたがわず、
いやだ、いやだと手足をバタバタさせてひたすら泣いてばかりいました。

それも子供の頃ならともかく、
あごひげが胸まで伸びるくらいの、いい大人になっているのに、
まだいやだいやだとタダをこねています。

もともと力のあるスサノオノミコトが全力で泣き叫ぶものだから、
青々と木々のしげっていた山々は枯野となり海も川もスサノオノミコトが泣く
涙のために水分を吸い上げられて、干上がってしまいました。

そうして国中から水気が無くなると、人の心もすさみ、
悪い神々の立てる音が五月のハエのようにうるさく国中にあふれ、
悪霊の力がいたる所にはびこりました。

みかねた父イザナギが息子スサノオにたずねます。

「なにをそんなに泣いているのじゃ」
「私は母上のいらっしゃる根の堅国に行きたいのです。
母上にお会いしたいのです。母上が恋しいのです」

「なんと!女々しいやつ!
お前のようなやつはこの世界に置いておくわけにはいかぬ!
とっとと行ってしまえ!」

「えっ、いいんですか。じゃ、行きます」

スサノオノミコトは少しも恥と思う様子も無く、
すぐに母のいる根の国にすっ飛んでいきます。

「やれやれ。育て方を間違えたかのう。もう、いやんなっちゃったよ。
ワシはこのへんで隠居するとしよう」

こうしてイザナギノミコトは近江の多賀神社に入り、
今日まで隠居しておられます。

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スサノオ、高天原に上る

スサノオノミコトは
母イザナミノミコトの待つ根の堅国へ行くことを
父イザナギノミコトから許されて、ウキウキしていました。

「いよいよ母上とお会いできる!何を話そうかな。
お土産は何がいいかな」

しかしスサノオは、うかれる中にも礼儀は忘れない男でした。

「そうだ。出発前に姉上にあいさつしてこよう。
しばらく会えなくなるだろうからな」

スサノオノミコトはひゅーーーんと空に飛び上がり、雲の間をすり抜けて、
タカマガハラを目指しました。

すると山も川もごうごうととどろき
国中がゆれ動きます。

アマテラスオオミカミはおどろいて
タカマガハラの宮殿の柱にとりすがります。

「な、なんのさわぎじゃ!」

「弟君のスサノオ様が訪ねていらっしゃったようです。
力強いスサノオ様の勢いで、大地がとどろいているのです」

「なんとスサノオが!それもこんなに大地をゆるがして…
きっとタカマガハラを奪いに来たに違いありません。
私の鎧を持ってきなさい!!」

アマテラスオオミカミは髪を男子のように左右にたばねて
角髪(みずら)にゆい、
背中には千本の矢、脇には五百本の矢を挿して
がっちり武装を固めて、スサノオの襲撃にそなえます。

「アマテラスさま、いくらなんでも大げさではありませんか。
まだ敵襲と決まったわけではありますまい」

「お前たちもそんな悠長なことを言ってないで、
鎧を着なさいッ」

アマテラスはたくさんの兵士を引き連れて、たけだけしい鎧甲冑に
身をつつみ、宮殿の庭にデーンと立ち、スサノオをにらみつけます。

「何をしにきたかーッ!」

えらい騒ぎになっているのでスサノオはビックリします。
聞くと、自分がタカマガハラを侵略しにきたという話になっています。
どこで話がねじれたのか。言いがかりもいいとこです。

「姉上!私は挨拶をしにうかがったです。姉上の国を奪おうなど、
考えたこともございません。父のイザナギの大神(おおみかみ)が
私が泣くわけをお尋ねになられますので、私は答えました。
母上のいらっしゃる根の国に行きたいのですと。すると父大神は、
そんな奴はここにはいらんと言うのでそうですかと、私は
これから根の国に下るところです。しばらく留守になると思いますから、
姉上に挨拶にうかがったのです」

「黙りなさい!そう言って私を油断させておいて、
スキをみて国をうばってしまおうというつもりでしょう。
ああ恐ろしい油断がならぬ」

「わかりました…姉上がそこまでおっしゃるなら、私に二心の無いことを
証明してみせましょう。お互いに子を産んで、
誓約(うけい)をしましょう」

アマテラスとスサノオの誓約(うけい)

誓約(うけい、うけひ)とは古代日本で行われていた一種の占いです。
ある事柄、ここでは「スサノオに二心が無いこと」を確かめるために、
それが正しいならこうなる、間違っているならこうなるとあらかじめ宣言してから
占いを行います。

「よいでしょう。ならば確かめてみましょう」

アマテラスとスサノオは天の安河(あめのやすのかわ)をはさんで向かい合います。

「まずはお前の剣をよこしなさい」

スサノオがアマテラスに剣を差し出すと、
アマテラスはそれを3つにへし折り、天の真名井(あめのまない)という
きれいな水をたたえる井戸に行って洗い清め、
それから口に含んでバリバリと噛み砕きます。

そしてぷーっと息を吹き出すと、その息が霧となり、
その霧の中からお生まれになったのが、

タキリビメノミコト(多紀理毘売命)、
イチキシマヒメノミコト(市寸島比売命)、
タキツヒメノミコト(多岐都比売命)の

三柱の女神です。

「では今度は姉上の左の角髪に
巻いている勾玉の髪飾りをお借りいたします」

スサノオはアマテラスから受け取った勾玉の髪飾りを天の真名井の水で洗い清め、
口に入れてバリバリと噛み砕き、ふーっと息を吹き出すと、
息が霧となりその霧の中から男の神様がお生まれになります。
アメノオシホミミノミコト(天之忍穂耳命)です。

また右の角髪に巻いておられた勾玉の髪飾りをもらいうけて
バリバリと噛み砕き、ふーっと息を吹き出すと、
息は霧となりその霧の中から男の神様がお生まれになります。
アメノホヒノミコト(天之菩卑能命)です。

また額の勾玉をもらいうけて噛み砕き、ふーっと息を吹き出すと、
息は霧となり、その霧の中から男の神様がお生まれになります。
アマツヒコネノミコト(天津日子根命)です。

左の手に巻いておられた勾玉をもらいうけて噛み砕き、
ふーっと息を吹き出すと、
息は霧となり、その霧の中から男の神様がお生まれになります。
イクツヒコネノミコト(活津日子根命)です。

右の手に巻いておられた勾玉をもらいうけて噛み砕き、
ふーっと息を吹き出すと、
息は霧となり、その霧の中から男の神様がお生まれになります。
クマノクスビコノミコト(熊野久須毘命)です。

あわせて五柱の男の神々がアマラテオオミカミの品々から
お生まれになりました。

調子に乗るスサノオ

スサノオはアマテラスオオミカミに言います。

「どうです姉上。私の心が清らかだから、やさしい女の神様が生まれたのですよ。
私に二心が無いことは証明されました。誓約は私の勝ちです」

「わかったわかった。私が悪かったって言ってるじゃないの。
そんなにふんぞり返らなくったっていいじゃない」

「あっ、なんですか姉上その態度は?あらぬ疑いをかけられて、
深~く傷つけられた、私の心」

「………」

「いったい、どう償ってくれるんですかねえ」

「………」

「聞いているのですか、姉上ッ!!」

「…ごめんスサノオ。
お姉ちゃん用事思い出しちゃった」

ピュンとアマテラスオオミカミは逃げていきました。

「ああっ!姉上!そういう態度ですか。
わかりました。よおくわかりました。
もう私は頭に来ましたよ。
どうなっても、知りませんからねッ!!」

スサノオはドスドスときつい足音とともに
高天原を後にすると、破壊活動にかかります。

≫つづき【天の岩屋】

解説:左大臣光永

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