ヤマトタケル(四) ヤマトタケル東征

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天皇、ヤマトタケルに東征を命ず

ヤマトタケルはクマソタケル、イズモタケルを征伐して
天皇のもとに戻ってきました。

「きっと父上もお喜びくださる。
お褒めの言葉をいただけるに違いない」

しかし、父である天皇から
返ってきたのは予想もしなかった言葉でした。

「東の方にある十二の国々と
服従しない者どもを屈服させ平定してこい」

「ええっ…!!父上。私は今日遠征から戻ったばかりなんですよ。
それで、また行くんですか」

「なんじゃ?勅命に逆らうのか」

「いえ…けしてそんな…」

ヤマトタケルはすごすごと引き下がり、
東へ向かう準備を整えます。

草薙の剣

「なぜです!!」

「私は天皇の勅命どおり、クマソを滅ぼし、
イズモを平定し、戻ってきました!
それなのに休む暇もなく、天皇は、今度は東へ
向かえとおっしゃいます。
これでは死ねと言われているようなものです」

「まあまあ、そう落ち込むものじゃありません。
きっと父君も、何か考えがあってのことでしょう」

嘆き悲しむヤマトタケルを叔母のヤマトヒメが
慰めます。
出発する前に、ヤマトタケルは伊勢神宮に寄って
叔母のヤマトビメノミコトを訪ねたのでした。

「…クマソタケルは領民に慕われる良い為政者でした。
イズモタケルは素朴で、気さくな若者でした。
それを殺したのはすべて、天皇の勅命だったからです。
私は…だんだん何を信じていいのかわからなくなってきました…」

「そんな…父君も何か考えがあってのことですよ。
そうだ、これを…、持っていきなさい」

ヤマトビメノミコトはヤマトタケルに一振りの剣と
一つの袋を手渡します。

「叔母上、これは…」

「剣は草薙の剣。その昔、英雄スサノオノミコトが
ヤマタノオロチを退治した時に手に入れたものです。
そしてこの袋も、きっと役に立つでしょう。
困った時に開きなさい」

「草薙の剣…」

ヤマトタケルは草薙の剣を抜いみて、ぶんと振ってみます。

「いい感じです」

「大丈夫ですね?」

「はい…とにかく、やってみます」

がちゃりとまた鞘に剣を戻し、
ヤマトタケルは東へ向けて出発しました。

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結婚の約束

尾張国では、
尾張の国造(くにのみやつこ)の祖先、
美夜受比売(みやずひめ)の館に泊まり、
姫とすぐに仲良くなりました。

「なあ、結婚しよう…」

「あん、タケルさま…でも…ダメです。
タケルさまは戦に生きるお方。
女の身からすれば、心配なんです」

「なに!ではこの俺が負けるとでも?」

「そうは思いませんが…今度の遠征から戻ってきたら、
その時は、受け入れますから」

「よし、その言葉忘れるな」

ヤマトタケルは少しやる気を取り戻し、
草薙の剣を腰にはいて、東へ向かうのでした。

野火の災難

ヤマトタケルは山や河の荒れすさぶ神々と従わない人々を
言向け平定しつつ、進んでいきました。

相模国に入ると、相模の国造がヤマトタケルに言いました。

「あの野原の真ん中に、大きな沼があります。
その沼にいる神々は、たいへん乱暴者なのです。
ヤマトタケルさま、何とか退治してくれませんか」

「ふうん。とにかく様子を見てみないとな」

ヤマトタケルは、ガサガサ、ガサガサ、
野原を掻き分け、掻き分け、進んでいきます。

「ふふっ。ヤマトタケル…単純な男よ」

カチカチ、ボウッ

国造が野に火を放ちました。国造は最初から
ヤマトタケルをだまし討ちにするつもりだったのです。

「ん…?ああっ!!」

ヤマトタケルが振り向くと、炎がものすごい速さで迫ってきます。

「おのれ。国造!図ったな!」

ヤマトタケルは火の無い方へ、火の無い方へと
逃げようとしますが、左からも右からも、
すごい速さで炎が押し寄せてきます。
このままでは焼き殺されると覚悟した、その時、

「そうだ。叔母上にもらった袋があった。
困った時は開けと!」

袋の口を開いて見ると、火打石が出てきました。
ヤマトタケルはピーンと来ました。

「でやあ!!」

ヤマトタケルは剣で草を刈り払い、
その草に火打石で火をつけます。

ゴォーーー

すぐにものすごい勢いで炎が燃え上がり、
それが迎え火となって周りから迫っていた炎は鎮まりました。

「よし。今のうちに…」

ガサガサ、ガサガサ…

ヤマトタケルは野を出て、戻ります。

「まったくあっけない奴でしたな」
「口ほどにもない」

などと国造たちがワイワイ言っている背後から近づき、

「きえーーっ」

ざん、ざん、ざんっ

国造たちを一人残らず斬り殺し、その死体に火をつけて、
跡形もなく燃やしてしまいました。

「またも勝利!!」

それでこの地を焼津というようになりました。

≫つづき【オトタチバナヒメの入水とミヤズヒメとの結婚】

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本日も左大臣光永がお話しました。
ありがとうございます。ありがとうございます。

解説:左大臣光永

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