応神天皇(一)後継者ウジノワキイラツコ

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ホンダワケノミコト(応神天皇)は軽島の明宮《あきらのみや》(奈良県橿原市大軽町)に宮殿をかまえ天下を治められました 。

この天皇には皇子が11人。皇女が15人。計26人ありました。この中に、オオササギノミコト(大雀命)が次の仁徳天皇となりま す。

三人の皇子

ある時ホンダワケノミコト(応神天皇)は、オオヤマモリノミコト(大山守命)とオオサザキノミコト(大雀命)を召して、 尋ねておっしゃいました。

「お前たちはどう思う?兄と弟では、どちらが愛しいであろうか」

天皇がこうお尋ねになったのは、二人の弟であるウジノワキイラツコ(宇遅能和紀郎子)に天下を治めさせようというお心があ ったためでした。

そこで兄オオヤマモリノミコトが天皇に申し上げます。

「兄のほうが愛しいです」

次に、弟オオサザキはピーンときて、天皇のお心を悟って、申し上げました。

「兄はすでに成人しているので、心配はないでしょう。
それよりも心配なのは弟です。まだ未熟なのですから。だからこそ、愛しいと思います」

「ほう…サザキ。お前の言うことは、
私の思うところと同じじゃ」

天皇はこうおっしゃって、すぐに勅命を下されました。

「オオヤマモリノミコトは、山と海の政を執り行え。
オオサザキノミコトは、陸の政を執り行え。
そしてウジノワキイラツコは、帝位を継ぐべし」

「ははっ」
「くっ…」

オオサザキは素直に従いましたが、兄であるオオヤマモリは納得いきませんでした。

(兄を差し置いてずっと年下の弟が帝位につくなど…
どう考えても、おかしい。俺は認めないぞ)

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ヤカワエヒメ

このように応神天皇は幼いウジノワキイラツコを溺愛していました。
それには理由がありました。

それよりずっと以前のこと。

天皇は大和から近江に越えていかれる時、途中の宇治で、
高台にお立ちになりました。
そして宇治北西に広がる葛野《かづの》を見渡し、
歌っておっしゃることに、

葛野~木幡~宇治
葛野~木幡~宇治

千葉の 葛野《かづの》を見れば 百千《ももち》足《だ》る
家庭《やには》も見ゆ 国の秀《ほ》も見ゆ

(葉が豊かに生い茂る葛野を見れば、
たいそう豊かな地だ。平地も、高台も、ともに豊かに見える)

そして天皇が木幡村(現宇治市木幡)にいらっしゃった時に、
美しい乙女が天皇はと知らずに、たまたま顔をあわせました。

(このあたりでは見ない方…見るからに高貴そうだけど)

(なんと美しい乙女であろう。これは、声をかけないと一生の後悔となる)

天皇は乙女に話しかけられます。

「お前は誰の子であるか」

「はい。丸邇《わに》の比布礼能意富美《ひふれのおおみ》の娘で、
名は、ミヤヌシノヤカワエヒメ(宮主矢河枝比売)と申します」

「ヤカワエヒメか。いい名じゃ。吾は明日、大和へ戻る。
その時に、お前の家を訪ねようと思う」

(いきなり家に来るって…いったい、どういう方かしら)

不思議に思いながらもヤカワエヒメは家に戻り、
父親の事の次第を語ります。すると父は言います。

「おお…その様子では、天皇に違いない。恐れ多いことじゃ。
娘よ、その方に、しっかりとお仕えしなさい」

たいへんなことになってしまったと家中おおさわぎに
なりますが、ともあれ天皇をお迎えする準備に家を
飾り立てて、お待ちしていると、次の日天皇はいらっしゃいました。

そこで食事を天皇にさしあげたときに、ヤカワエヒメが
杯を取って、とっとっとと、お注ぎします。

天皇は杯を持ったまま、歌の中にヒメの美しさを褒めたたえ、
結婚の喜びを高らかにお歌いになりました。

こうして結婚なさって生まれた子が
ウジノワキイラツコ(宇遅能和紀郎子)です。

宇治で出会った妻との間に生まれた、
若々しい御子というほどの意味で
ウジノワキイラツコ(宇遅能和紀郎子)です。

現在の宇治川をはさんで、平等院の向う側に
宇治上神社という神社があります。
この宇治上神社がウジノワキイラツコと応神天皇、
仁徳天皇を祀った神社です。

≫つづき【応神天皇(二)カミナガヒメをめぐる駆け引き】

解説:左大臣光永

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