宮本武蔵 佐々木小次郎 巌流島の決闘

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「おのれ武蔵!臆したか」

慶長17年(1612年)4月13日。

長門国舟島にて
宮本武蔵と佐々木小次郎が決闘をしました。

武蔵は前もって小倉藩主細川忠興(ほそかわただおき)に願い出て
決闘の許可を得ていました。

約束の時間は辰の刻(午前8時)。
しかし武蔵は2時間たってもあらわれません。

海岸で苛立つ小次郎。その脇には決闘を見守る小倉藩の
重臣たちが床机に座ってしきりに話していました。

「武蔵という男…たしかに来るのか?」
「まさか逃げ出したのでは」
「いやいや、宮本武蔵。勝利のためには手段を選ばん男です。
こうやって敵をじらすのも、一つの策でしょう」
「それであの小次郎という男。大丈夫なのか。
奴が武蔵に斬られれば、小倉藩としては大恥ぞ」

小倉藩剣術指南役佐々木小次郎。この年の年齢は不詳ですが、
美しい青年剣士だったとも、もういい年だったとも言われます。

一方の武蔵はこの時
下関から舟島へ向かう小船の上にいました。

記録によるとこの時武蔵は29歳。
一説では細川家家老松井興長の食客だったと言います。

ざぶん…ざぶん…

「晴れましたなあ。今日は波もおだやかです」

話しかける船頭を無視して、
武蔵はさきほどから小刀で何かしきりに削っていました。

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「あっ、武蔵殿、それ舟の櫂じゃないですか」
「船底に壊れたのが転がっていた。どうせ使わんのだから
いいだろう」
「そんな、勝手に、困ります。あーあ、こんなにしちゃって…」

絵画や書もたしなんだという武蔵のことで、
器用な手つきでシャッシャと櫂を削り、
またたく間に剣の形を作り上げてしまいます。

一方、海岸では…

小次郎がはるかの海をながめていると、かすかな舟影が、
見えてきます。

「ん?」

舟影はしだいに大きくなっていき、

舟の舳先で腕組みをしている武蔵の姿が
ハッキリ見えてきます。

「おのれ武蔵!決闘の刻限に遅刻するとは、
許しがたい。さあ来い!わが物干竿の錆としてくれよう」

佐々木小次郎、腰にさした刃渡り三尺の
物干竿とよばれる刀を抜き、
怒りに任せて鞘を投げ捨てます。

「小次郎敗れたり」
「何っ」

「勝つつもりがあるならなぜ鞘を捨てた。
その鞘にふたたび刀が戻ることはあるまい」

「な…ぐっ…黙れッ」

武蔵と小次郎は波打ち際で睨み合い、
じりっ、じりっと間合いを図ります。

固唾を飲んで見守る小倉藩の重臣たち。

だっ…だっ…だっだっだっだっだっ

刀をかまえ、距離を保ったまま、
海岸沿いに走り出す武蔵と小次郎。

「武蔵ッ」「小次郎ッ」

小次郎は海を背にした武蔵まで一気に距離をつめ、

ざんっ

足元に物干竿を打ち込んだと思ったその物干竿を、

すぱああああぁぁぁん

一気に切り上げ、舞い上がる砂埃の中に
武蔵を一刀両断したかと思った、その時、
宙に飛び上がった武蔵が小次郎の頭上から、
バカーーンと打ち下ろし、

「ぐはっ…」

小次郎は立ったまま、息絶えていました。

しばらくの沈黙の後、見守っていた小倉藩重臣たちは
ようやく我に返ります。

「と、捉えよ。武蔵を捉えよ」

あふてふためく小倉藩重臣たちをよそに、
武蔵は舟に飛び乗り下関へと急ぎました。

小次郎は敗れましたが、小次郎をしたう地元の人々の声は強く
小次郎の剣の流派「巌流」から名を取って
この島を舟島あらため巌流島と呼ぶようになりました。

現在、
下関の唐戸桟橋そばの関門汽船発着所から、
毎日1時間に2本ほど、巌流島行きの船が出ています。

冷暖房完備の室内で快適な船旅をたのしむのもいいですが、
おすすめは船の屋上に出て、吹きすさぶ風とともに
武蔵と小次郎の気分に浸ることです。

島の奥の小高い丘には武蔵対小次郎の像が建っています。
武蔵像は下関市の廣瀬直樹氏、小次郎像は岩国の彫刻家
村重勝久氏のデザインによるもので、
どの角度から見てもカッコよく決まっています。

汽船で巌流島に着いた後はいったん船は引き返して行き、
次の船で拾ってくれます。くれぐれも見物に夢中になって
乗り遅れることのないようにしてください。

またこの界隈は
源平の最終決戦が行われた壇ノ浦の海域にも近く、
碇を背負って入水する平知盛の像、
海に沈んだ安徳天皇をまつった赤間神宮も見所です。

解説:左大臣光永

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